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2016年09月21日

暑い夏でもへっちゃら!涼しく過ごせる家とは?

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今年の夏は猛暑の予報。地球温暖化の影響か、年々暑さが厳しさを増して熱中症などのリスクも高くなっています。せめて家の中では涼しく過ごしたいものですが、一方でエアコンの電気代も気になるところ。できるだけ光熱費をセーブしながら、涼しく快適に過ごせる家をつくるには? 建築家の原田正史さんにアドバイスをいただきました。

■エネルギー効率が高い「高断熱・高気密住宅」なら涼しい家に

高断熱・高気密住宅での壁に充填されている断熱材

暑い夏でも涼しく過ごす家づくりと言えば、グリーンカーテンや自然の風を上手く採り入れる、家の前に打ち水する、といった工夫を連想する人も多いはず。

「確かにそれらも一定の効果はあるのですが、家の構造レベルから涼しく過ごせる家をつくるなら、『高断熱・高気密住宅』もおすすめの選択です」

ではなぜ、高断熱・高気密住宅では、涼しく過ごすことができるのでしょうか。

「“断熱”は断熱材を壁などに詰める、または外側から覆い、外部の暑さを遮る仕組み。一方“気密”は、家の隙間を減らし、外気と室内の空気の交わりを極力シャットアウトすることです。こうすることでエネルギー効率が向上してエアコンの効きも良くなるため、設定温度をそれほど低くしなくても快適な室温になります。ですから、断熱性、気密性に配慮していない家では、太陽で熱せられた壁や天井から輻射熱が発生したり、温度の高い外気が入ってきたりして、エアコンを効果的に使うことができません」

ちなみに輻射熱とは、遠赤外線と同様、熱が電磁波のカタチで物体から物体へ直接伝えられる現象のこと。身近なところでは太陽の暖かさも輻射熱です。夏場、直射日光が当たるとすぐに身体が暑くなってたくさん汗をかきますが、日陰に入るとスーッと汗が引きますよね。あれは太陽の暖かさが輻射熱であることの証です。

■24時間換気システムで室内の空気はいつも新鮮に

24時間換気システムなら乳幼児も安心して寝かせられそう

ところで、高断熱・高気密住宅というと「空気がこもり、よどんでしまうのでは…?」と考える人もいるかもしれません。

「現在はすべての新築住宅に24時間換気システムが導入されており、室内をいつも新鮮な空気で満たすことができます。また、交換可能な専用フィルターを使うことで、家の中での花粉症やPM2.5対策も行えます。フィルターは住人が自分で交換できますよ」

高断熱・高気密住宅は、快適な室温や空気を外に逃がさないため窓をあまり開けない暮らし方が原則。24時間換気システムのおかげで、これも可能になるというわけです。

また、換気システムの効果で家の中の空気が還流し、どこにいても室温や湿度がほぼ同じになる効果もあります。その点では、浴室、洗面室などで発生するリスクが高いヒートショックの予防や、留守番中のペットのケアにも適しているそうです。

■高断熱・高気密住宅では「窓ガラス」も高性能!

高断熱・高気密住宅の窓ガラスには、断熱はもちろん、遮熱、UVカット機能、防犯機能が加わっているものも

高断熱・高気密住宅のポイントになる「窓ガラス」についても解説していただきました。

「高断熱、高気密の家の窓ガラスは、複層ガラスが標準仕様となっています。複層ガラスとは、2枚のガラスの間に空気(またはアルゴンガス)を閉じ込めた構造のガラス。エアコンで快適になった室内の涼しさを外に逃がさず、同時に日射、照り返しなどを遮断して外の暑さが入って来るのを防ぎます。断熱ブラインドを併用すれば、さらに高い効果が期待できます」

また、UVカット機能を備えるタイプも多いので、日焼け予防はもちろん、床や家具の変色を抑えることもできるそうです。

空気中に約1%存在する不活性ガス。空気よりも熱伝導率が低いため熱を伝えにくい働きがある

■石油ストーブやファンヒーターなどは原則NGに

高断熱・高気密住宅での石油ストーブの使用はNG

メリットの多い高断熱・高気密住宅ですが、知っておきたい注意点もいくつかあります。

「これは寒い時期の話になりますが、石油ストーブやファンヒーター、暖炉などの開放型暖房機器は原則的に使えません。気密性の高い高断熱・高気密住宅でこれらを使用すると、24時間換気システムが作動していても空気環境を悪化させるリスクがあるからです。
使うなら空気を汚さないエアコンや電気ストーブ、機器内に温水や冷水を循環させることで室内に自然な快適環境をつくる輻射式の冷暖房、密閉型の薪ストーブなどが良いでしょう」

また、基本的に窓を開けない暮らし方が推奨されるとはいえ、春や秋など気温や湿度が快適な季節には、窓を開けることも考えては、とのアドバイスも。

「考え方は人それぞれだと思いますが、私は、やはり自然の風は爽快であり、人体に程良い刺激を与えてくれるものだと考えています。これを良しとするなら、窓を設置する位置に配慮するといいでしょう。例えば、敷地配置や住環境をふまえて、風が通りやすいように家の対角線上に窓を設けてみては。あるいは、天井付近の空気を循環させる天窓、庭の空気を採り入れやすい和室床付近のスリット状の窓なども効果的だと思います」

■夏だけでなく一年中快適!長く暮らせる高断熱・高気密住宅

夏も冬もオールシーズン、エアコンに頼らず暮らせるのが魅力

夏涼しく過ごせる高断熱・高気密住宅の提案、いかがだったでしょうか。ご紹介してきた優れた機能は、夏を快適にするだけでなく、冬もエアコンなど冷暖房にさほど頼らなくても暖かく過ごせる、結露予防による家の長寿命化、適切な湿度維持で病気リスクの軽減などに期待できる…といった多くのメリットももたらします。長い目で見ても検討材料にする価値は大いにありそうですね。

一級建築士

原田 正史(はらだ まさちか)

原田正史建築設計事務所代表。学生時代から建築設計事務所を渡り歩き、数々の設計をこなしてきた建築家。使う人の立場に立った住まいを作る、優しい空間のパティシエ。All About「思いやりの家づくり」ガイド。