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2016年06月23日

家を建てた後、どのくらいメンテナンス費用がかかる?

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念願叶って手に入れたマイホームなのだから、できるだけ長く快適に暮らしたい。そのためにはこまめなメンテナンスやリフォームが欠かせません。どこに手を入れるべき?費用はどのくらいかかる?建設工事業、建築士事務所、宅地建物取引業の会社を経営し、自らも一級建築士、宅地建物取引士としてメンテナンス、リフォームの現場で活躍する大野光政さんにうかがいました。
※メンテナンス、リフォーム費用は、 標準的床面積100㎡~120㎡の標準的な一戸建て住宅の場合で想定

■最も傷みやすい場所「外壁」の費用は?

外壁はメンテナンスに配慮すべき場所の筆頭に挙げられます

マイホームの中で最も傷みやすく、メンテナンスに気を使わなければならない場所といえば、まず最初に挙げられるのが、雨風や直射日光にさらされる外壁です。

「特に外壁材の継ぎ目や窓回りからの雨水侵入を防ぐためのコーキング部分を定期的に打ち替えることが大切です」と大野さん。

仮に外壁のメンテナンスをしないで放っておくとどうなるのでしょうか?
「屋根や壁内部に雨水などが侵入して家の寿命を短くしてしまったり、大がかりな修理・工事が必要になってしまうことがあります」

便利なのが、セルフクリーニング機能付きの外壁。
「見た目を美しく保つことができるほか、一般的に耐久性が高いため、塗り替えなどメンテナンスの頻度を少なくできるのも魅力です」

■傷みやすい「屋根」のメンテは外壁と同時に行うのが合理的

屋根の補修は外壁と同時に行うのがオススメ

また、屋根も外壁同様、常に雨風や直射日光に照らされる場所だけに、定期的なメンテナンスが必要になる場所。

「足場をかけて工事する都合上、屋根だけのリフォームだけで済ませるのはもったいない。外壁の塗装や雨樋の修理など、足場を有効に活用できるリフォームと同時実施することが望ましいです」

表面の釉薬がガラス質になっていて水が浸透しにくく、美しい状態を保てることで人気の陶器瓦もオススメとのこと。

「定期的な塗装を必要とするコロニアル瓦などと比較しても、耐候性・耐水性に優れている陶器瓦はメンテナンス上非常にすぐれた屋根材であると言えます」

【費用】屋根、外壁の塗装、および防水処理 150万~180万円
(屋根材、外壁材の状況によっては葺き替え、取り替えで300万~500万円程度かかる場合も)

■暮らしの快適性に直結する「水まわり」にも十分にケアを

水まわりの補修は大がかりになり、比較的長期にわたることが多い

キッチン、浴室、トイレなど家族が毎日使う水まわりは、屋内で傷みやすい場所の筆頭に挙げられます。

「エコキュート、給湯器などは10年~12年ごとに交換が必要になると考えたほうがいいでしょう。浴室や洗面所、キッチン、トイレなどは給配水管のリニューアルと合わせて、10年ごとの補修、20年ごとに交換となることが多いです。水まわり設備をリニューアルする際は、お子さんの成長やご両親との同居など、住人や暮らし方の変化をふまえて、バリアフリーやスムーズな動線の実現も念頭に入れてください」

【費用】・エコキュート(給湯配管含む)の交換 60万~80万円
・水まわり設備の交換 100万~300万円

■「間取り変更」は動線や建物構造をきちんと考慮して

壁などを取り払うことで家の強度が低下しないか留意を

お子さんが男の子と女の子で、それぞれに個室を与えたい、高齢になった両親と同居することになった、あるいは逆にリビングと隣の部屋の間の壁を取って広い空間にする…など家族の成長や住人構成の変化に伴い、間取り自体を変更することも考えられます。単なる住宅設備の交換ではなく家の構造に直接関わるだけに、間取り変更は綿密なプランと注意が必要と大野さんは話します。

「動線や建物の構造をしっかりと考慮して設計する必要があります。特に壁を取り払うようなリフォームでは、建物の強度に影響がないかどうかを検証する必要があります。安易な撤去工事とならないよう十分留意しなければなりません」

【費用】・間取り変更 20万~120万円
※2室の間仕切り壁を壊して広い1室にする、あるいは間仕切り壁を入れて部屋を2室にするようなリフォームを想定

■将来をふまえた植樹計画が「庭」リフォーム代を安くする

庭の植栽の位置によっては補修工事が高くなることも

庭は建材、設備などの集合体である家に比べると、メンテナンスやリフォームの費用はあまり高くならないのではと思いがち。しかし大野さんは、

「植栽が無造作に植え込まれていると、新築後5~6年で太く成長した根が給排水管に干渉して破損させてしまう場合も。そうなると予定外の修理費が発生してしまいます。他にも、私の経験では築5~6年といった新しい住宅で「ウッドデッキやテラスを後付けしたい」とご相談を頂くケースも多いです。新築時にはイメージできなかった、あるいは家族の成長によって暮らし方がある程度見えてくると、庭回りをもっと有効に活用したくなるものです。庭回りの空間には少しゆとりがあった方がリフォームプランを検討しやすくなるでしょう」

さらに、外から玄関へ続くアプローチにも配慮しておくべきとのアドバイスも。

「高齢の両親と同居する可能性がある方はもちろん、自身の老後もふまえると、家の中へ入る・家から出る、両方をできるだけスムーズにしたい。そのためにはスロープを設置しやすい家が望ましいです。将来的にそれが可能かどうか、スペースや動線計画を考慮しておきたいものです」

【費用】・植栽が給排水管を傷めた場合の修理費 3万円~10万円
・ウッドデッキ、テラスなどの設置費 30万円~150万円
・玄関スロープ設置費用 20万~30万円
※長さ5m前後、幅1m程度の場合を想定

「家を新しく建てることはゴールではなくスタート。住む人が家族と同じように家にもしっかり向き合って、必要なメンテナンスやリフォームをすることで快適で暮らしやすい家を長く保つことができます」と大野さん。ただし、メンテナンス、リフォームは、素人にはなかなか太刀打ちできない領域のため、信頼できるプロを見つけることが必要になります。

●今後のことも見据えた家づくりを!

それだけに、家を建てた後も長く付き合えるメンテナンス、リフォーム業者や、しっかりアフターフォローの体制が整っている住宅販売会社を選ぶことは非常に大切。さらに言えば、家を建てる段階で建材や仕様も厳選することで、入居後のメンテナンス・リフォーム費用に差が出る場合もあります。そのあたりもふまえて家づくりに取り組んでみてくださいね。

一級建築士、宅地建物取引士

大野 光政(おおの みつまさ)

大金興業株式会社代表取締役。一級建築士かつ宅地建物取引士という資格を活かしながら、消費者目線の中古住宅リフォームなどを手掛ける。「リフォームを分かりやすく、親しみやすく」をテーマに執筆活動も行っている。All About「リフォームにかかるお金」ガイド。