事業報告

事業の経過及びその成果

 当連結会計年度におけるわが国経済は、中国を始めとするアジア新興国の景気下振れへの懸念、各国の政治情勢の変動や金融政策動向により、先行きに不透明感はあるものの、政府の各種経済政策の効果を背景とした雇用・所得環境の改善や個人消費に持ち直しの動きが続いたことから、緩やかな回復基調となりました。
 当社グループの属する住宅業界におきましては、住宅ローンの低金利水準の継続や政府による各種住宅取得支援策の効果を発揮しつつも、弱含みにて推移しました。
 このような状況の中、当社グループにおきましては、中期経営計画「タマステップ2018」の最終年度として、「“面” の展開から、“層” の拡大による成長へ」を基本方針とし、多様な商品・サービスをご提供することで顧客層の拡大を図り、次の中期経営計画「タマステップ2021」へつながる成長基盤づくりを進めてまいりました。

 各事業の概況は以下のとおりです。

住宅事業

 住宅事業においては、新しく12ヶ所(うち移転4ヶ所)の出店を行い、営業拠点は242ヶ所になりました。また、モデルハウス、ショールームのリニューアルを36ヶ所において実施しました。
 “建築主のお宅” 大公開フェアや10万棟達成記念フェアなど、集客向上のためのイベントを随時開催することにより、来場数が増加しました。多くの来場を基に受注が好調に推移し、地域特性を生かした商品である「地域限定商品」は、お客様のニーズに合わせたリニューアルを重ねつつ、販売エリアを37都道府県にまで拡大させることができ、またベーシックライン(低価格帯商品)の「シフクノいえ」の受注も堅調に推移しました。
 上記のとおり来場、受注が好調に推移したことから受注残棟数が増加し、引渡棟数が前連結会計年度比で8.8%増加しました。
 引渡棟数は増加した一方で、販売戦略として価格と利益率を抑えて設定した地域限定商品の比率が高くなったこと、また販売増に向けて採用を強化したことによる人件費等の販管費増加の結果、営業利益は横ばいとなりました。地域限定商品については、今後とも住宅設備の仕様と販売価格、利益率を勘案しつつ、地域におけるシェアナンバーワンを目指し展開していく方針です。
 また、入居後10年を経過したお客様を中心に、保証延長工事等のリフォーム受注活動を積極的に展開し、さらに収益性の向上に努めることにより、リフォーム事業は引き続き好調に推移しました。
 以上の結果、当事業の売上高は141,847百万円(前連結会計年度比7.5%増)、営業利益は2,444百万円(同0.3%増)となりました。

不動産事業

 不動産事業においては、オリンピック需要拡大による職人不足が進んでおり、着工期間の長期化への影響が懸念される市況にあります。しかしながら当社グループにおいては、30区画以上の大型分譲地を中心に、受注・引渡棟数ともに前連結会計年度比で増加したことに加え、収益性も改善しました。引き続き職人確保のための取り組みを実施するとともに、消費増税に向けて10区画未満の販売用地の確保にも注力していきます。
 マンション販売においては、「アンシア西新井パークレジデンス(全42戸)」が平成29年7月に、「グレンドール二子玉川(全23戸)」が平成29年11月にそれぞれ完売しました。福岡県久留米市において販売中の「KURUME THE MID TOWER(全88戸)」については、残戸の早期完売に努めてまいります。今後については需要を慎重に検討し、新たなプロジェクトを進めていく方針です。
 以上の結果、当事業の売上高は18,019百万円(前連結会計年度比2.0%増)、営業利益は1,383百万円(同20.6%増)となりました。

金融事業

 金融事業においては、住宅火災保険の付保率を高い水準で維持できており、住宅事業の引渡棟数増加に伴って増収となりました。生命保険販売は、ファイナンシャルプランナー1人当たりの収益性の向上に努めた結果、増収となりました。一方、住宅ローン手数料はフラット35の提携金融機関利用率の増加に伴い手数料単価が上昇し、地方銀行の積極的な住宅ローン融資により利用率が低下したものの、手数料収入は堅調に推移しました。また、住宅購入者向けのつなぎ融資事業も計画通りの推移をしています。
 以上の結果、当事業の売上高は1,163百万円(前連結会計年度比9.8%増)、営業利益は516百万円(同33.2%増)となりました。

エネルギー事業

 エネルギー事業においては、福岡県大牟田市においてメガソーラー発電施設の商業運転が堅調に推移しました。
 以上の結果、当事業の売上高は880百万円(前連結会計年度比2.3%減)、営業利益は330百万円(同0.8%増)となりました。

その他事業

 その他事業においては、住宅事業における引渡棟数の増加により住宅周辺事業が好調に推移しました。また、グループ会社において事業の整理、経費削減を進めた結果、営業損失が縮小しました。
 以上の結果、当事業の売上高は6,004百万円(前連結会計年度比9.7%増)、営業損失は53百万円(前連結会計年度は475百万円の営業損失)となりました。

 以上の結果、当社グループの連結経営成績は、売上高167,915百万円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。利益につきましては営業利益4,653百万円(同19.3%増)、経常利益4,029百万円(同15.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,047百万円(同127.1%増)となりました。