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2016年05月16日

祖父母との同居。子どもの心の成長に与える影響は?

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共働き家庭の増加や税制面の優遇などから、祖父母と同居する「二世帯(三世代)住宅」が注目され始めています。そこで、育児コンサルタントの佐藤めぐみさんに、子どもが祖父母と一緒に暮らすことで得られる、精神面や成長過程におけるメリットについて伺いました。

子どものココロの成長に必要な「アタッチメント」

成長とともに大きく揺れ動く子どものココロ。健やかに育むために大事なことは?!

イジメ、ひきこもり、少年犯罪etc.…最近、子どもに関するさまざまな問題が増えているように感じます。子どものココロが、まっすぐ、健やかに育つためにはどうすればよいのでしょうか。

「子どもが精神的に健全に育つためは『アタッチメント』が必要。アタッチメントとは、子どもがある特定の人にだけ示す“情緒的な絆”のことで、少なくとも一人の養育者とこの絆を維持しないと、社会的・心理学的な問題を抱えるようになるといわれています」。

三世代の暮らしなら、より愛情豊かに育てられる

アタッチメントは、子どもが特定の養育者と質の良い時間を過ごすことで生まれます。

アタッチメントを求める相手は、子どもの年齢によって異なります。子どもが0歳のときは母親との強いアタッチメントを求める傾向がありますが、その後は、どんどん相手を広げていくそう。

「子どもは愛情に貪欲です。なので“50%はママから、25%はパパから、おじいちゃん・おばあちゃんからそれぞれ25%、合計100%”という発想はせず、それぞれから100%の愛情を欲しがります。つまり、アタッチメントできる人数が多い子どもは、より愛情豊かに育つことができるのです」

つまり、おじいちゃん・おばあちゃんと一緒に暮らすことで、子どものココロの成長過程において必要な“根本的な愛情”を、たくさん享受できるのです。

二世帯同居で解消できる“子どもの孤独感”

共働き家庭では、子どもの年代ごとに預け先の悩みが出てくることも。家でおじいちゃんおばあちゃんが待っていてくれれば、そんな悩みを抱えずにすむでしょう。

共働き家庭の増加とともに、保育園や学童クラブなどが不足し、“子どもを預ける場所がない”という問題が発生しています。

「親が安心して預けられる場所がないことは、子どもが孤独感を抱く要因になっているのではと感じています。2007年にユニセフが行った調査でも、日本は“もっとも子どもが孤独を感じている国”ということが分かっています。私はこの孤独感が、昨今の子どもの諸問題の根っこにあると思うのです」

子どもの孤独感を解消するという点でも、二世帯住宅での暮らしは大きな魅力。二世帯住宅なら、学校が終われば、子どもはおじいちゃんおばあちゃんの玄関へ帰宅し、親が帰宅するまでの時間を一緒に過ごせます。

「おじいちゃんおばあちゃんも、孫と1日中べったりだとヘトヘトになってしまいますが、一定の時間を過ごすことは日々の張り合いになります。子どもにとっても、自宅にいながらおじいちゃんおばあちゃんと過ごせることで、孤独を感じることは少なくなるはず。さらに働く親の悩みである『夕方のお迎え問題』も解消できるので、親も精神的に楽になるでしょう」

ママが一人で育児を背負わずにすむ!

二世帯同居なら、子どもをおばあちゃんに預けて「ちょっとお出かけ」が気軽にできます。

二世帯住宅での暮らしは、ママにとっても“一人で子育てを背負わない”というメリットもあります。子どもは、小さければ小さいほど目を離せないもの。家で一人きりで子どもの世話をしているとき、息ができないほどの密閉感を経験される方もいるようです。

「おじいちゃんおばあちゃんが同じ家にいてくれたら、両世帯のお買い物はママが引き受け、その間子どもを見てもらうという“分業”ができます。小さい子どものいるママにとって、一人で買い物に行くというのは、それだけでもいい気分転換になります。もし途中でコーヒーでも飲めたら、かなりのリセットになりますよね」

同じ家に住んでいることで、ママの育児負担が減るのはもちろん、「祖父母は時間がたくさんある」「ママはフットワークが軽い」というお互いの強みをいかした分業もしやすくなるのです。

二世帯住宅、間取りの注意点は?

三世代での食事は、アタッチメントの観点でとても良いこと。でも、それがストレスにならない間取りをつくることが大事。

二世帯住宅はメリットが多いと理解しているものの、同じ家で一緒に暮らせるかしら…と不安を抱く人は多いでしょう。佐藤さんは、二世帯住宅にするなら、玄関、キッチン、バス、トイレなどすべての設備と居室を完全に分離させた、プライバシーを重視した間取りが理想と考えています。

「おじいちゃんおばあちゃんは夫婦どちらかのご両親とはいえ、生活空間が適度に仕切られていないと、誰かは気を遣うことになります。特に食事は、世代ごとに好みが違うもの。“みんなでご飯”というのは楽しく、アタッチメントの観点でもよい事なのですが、毎日となるとお互いに大変。独立したキッチンをつくり、それぞれの食習慣を保てる間取りがベストだと思います」。

「離れすぎず、くっつきすぎず」で快適な暮らしを

快適に過ごせる間取りと、お互いへの心配りで、三世代が仲良く暮らせる二世帯住宅をつくりましょう。

食事だけでなく、就寝時間や起床時間、テレビやネットなどの使用状況などの生活リズムも、祖父母世代・親世代・孫世代では違います。この“違い”を、目障り・耳障りと感じるとストレスへと発展することも…。

「心理学的にみても、いくら家族でも距離感が近すぎると、過干渉、過保護、甘え、自立の遅れなど色々な問題が出てくることがあります。これらの問題や、生活の違いから生まれるストレスを避けるうえでも、世帯ごとにフロアを分ける間取りの方が、お互いが長く快適に過ごせると思います。“離れすぎず、くっつきすぎず”の二世帯住宅が、子どものココロの健やかな成長を促しつつ、三世代が仲良く生活するコツといえます」

いかがでしたか?子どもにとって良い環境で育ててあげたいものですね。強みを活かした三世代での暮らしを考えてみるのも良いかもしれません。

育児コンサルタント

佐藤 めぐみ(さとう めぐみ)

欧米の大学、大学院にて心理学を学ぶ。現在は育児相談室「ポジカフェ」にて、育児コンサルタントとして活動中。子育て心理学を活用した叱り方講座、育児ストレス診断、育児相談などを行っている。All About「子育て」ガイド。